小学校ではかるた取り遊びとして紹介される百人一首ですが、中学または高校になり、古文が授業として始まると、テストとして取り組む学校もありますよね。
私も高校の時にマークシートのテストで出題され、その成績が古文の成績に反映されたことがありました。
しかし、百人一首は100首もあるため覚える事が膨大で諦めてしまう人も多くいるのが現状です。逆に言うと、あきらめなければ差をつける事が出来ます。
そこでこの記事では、『百人一首のテスト対策とは?出やすい和歌や出題ポイントを解説!』と題しまして、テストなどで差をつける対策方法などを詳しくご紹介していきます。
今回は丸暗記ではない方法を明記しておりますのでご了承ください。
テストに出やすい和歌はどんなものか
丸暗記をあきらめてテストに出やすい和歌だけを覚えたい方のためにいくつかピックアップして一覧にしてみました。
・秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ(1番)
・春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山(2番)
・あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む(3番)
・花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに(9番)
・これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関(10番)
・ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは(17番)
・このたびは幣も取りあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに(24番)
・めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月影(57番)
・夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ(62番)
・玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする(89番)
・来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身も焦がれつつ(97番)
それぞれテストに出やすいポイントや理由を解説していきます。
秋の田の~がテストに出やすい理由
1番の和歌が出やすい理由はこちら。
・1番目だから
・天智天皇という作者が天皇になる前は『中大兄皇子』だったから
・『苫をあらみ』が6文字→『字余り』を答えさせる問題も出るから
特に中大兄皇子とこの和歌がイコールになっていない人が意外と多いのですが、覚えておくと対策になります。
春過ぎて~がテストに出やすい理由
2番の和歌が出やすい理由はこちら。
・白妙の~衣 が枕詞になっているから
・持統天皇という『女性天皇』が作者だから
テストとしては枕詞はかなり出しやすいポイントになります。また、持統天皇は日本の天皇でも少ない女性天皇です。百人一首の中では唯一の女性天皇ですから、出すポイントとしてはかなり多くなります。
ちなみに1番の天智天皇の弟の妻になりました。
あしびきの~がテストに出やすい理由
3番の和歌が出やすい理由はこちら。
・あしびきの~山 が枕詞になっているから
・あしびきの~しだり尾の までが『長々し夜』に対する序詞(~のように)になっているから
この和歌は、2つの意味で技巧が込められています。
まず、あしびきの~は山にかかる枕詞です。さらに、上の句のすべて(575)がどのくらい『長々し夜』なのかという比喩表現(序詞)になっているのです。 テストでは、その2つが確実に出やすいので覚えておくと2点取る事が出来る可能性が高いです。
花の色は~がテストに出やすい理由
9番の和歌が出やすい理由はこちら。
・三十六歌仙や六歌仙に選ばれている女流歌人だから
・世界三大美女の一人だから
・そもそも小野小町が有名だから
・世にふるが、「振る」と「降る」の掛詞だから
・ながめが「眺め」「長雨」の掛詞だから
9番の和歌は特にテストに出題されやすい和歌になります。
なぜなら名前だけは誰しもが聞いたことあるでろう『小野小町』が作者なのです。小野小町は世界三大美女にもなっていますし、和歌が得意な人が選ばれる六歌仙、三十六歌仙にも選ばれています。
また、和歌自体にも掛詞が二つも使われています。
世に振る(世の中の振る舞い、身を置く)、降る(次の長雨にかかっている)のと、ながめが「眺め(自分の見た目)」「長雨」になっているのです。
このあたりもかなり問題に出しやすいので重要和歌になります。
これやこの~がテストに出やすい理由
10番の和歌が出やすい理由はこちら。
・これやこの、いくもかえるも、しるもしらぬも、と対比になっているから
・坊主めくりのローカルルールで有名な蝉丸だから
この和歌はかなり覚えやすいので先生によってはサービス問題で出題することがあります。私も実際に高校生の時に出題されました。
また、坊主めくりでローカルルールとして使われている蝉丸という人が作者のため、蝉丸という名前だけは知っているという人も多いはず。そのためテストに出してくれる先生もいるのです。
ちはやぶる~がテストに出やすい理由
17番の和歌が出やすい理由はこちら。
・作者が在原業平(伊勢物語の登場人物)だから
・六歌仙と三十六歌仙に選ばれているから
・ちはやぶる~が神、の枕詞だから
在原業平は当時のイケメンで和歌も武芸も達者だったと言われています。そのため、物語の登場人物として描かれたり、小野小町と同様に歌仙に選ばれています。
さらに、ちはやぶる~も枕詞になっているので問題として出題しやすい傾向にあります。
このたびは~がテストに出やすい理由
24番の和歌が出やすい理由はこちら。
・まにまに、がリズミカルで覚えやすく有名
・勉強の神様で有名な菅原道真が作っている
菅原道真は、全国にある○○天満宮に祭られている学問の神様としてあまりにも有名です。勉学好きだったうえに和歌の才能もあったため、どんどんと出世していきました。
また、『神のまにまに』のまにまにの部分が覚えやすく出題しやすい和歌です。
ちなみに「まにまに」自体は2回繰り返さなくても意味を成すので今でいうところのラップのようなものに近いかもしれません。
めぐり逢ひて~がテストに出やすい理由
57番の和歌が出やすい理由はこちら。
・源氏物語で有名な紫式部の和歌だから
・「め」から始まる和歌はこの和歌だけなので、百人一首でも獲りやすい札だから
この和歌は、源氏物語の作者として有名な紫式部が作ったものです。そのため、作者を問われる問題に出されやすいです。
さらに、この和歌は決まり字(この文字だけで下の句が判断できるという文字)が1文字なので、競技かるたでも獲りやすい札になりますから、覚えておいて損はありません。
夜をこめて~がテストに出やすい理由
62番の和歌が出やすい理由はこちら。
・枕草子で有名な清少納言の作品だから
・紫式部と対比して問題に出されやすい
この和歌が問題に出されやすいのは清少納言が作っているからです。清少納言と紫式部は一条天皇という天皇に嫁いだ2人の奥様のそれぞれの家庭教師のような役割をしていたため、ライバルとして対比されやすいのです。
しかし、実際は二人が同じ宮中に居たわけではなく、お仕えした時期はずれています。そのため、本人に会わずとして文句を言っていたことになるのです。顔も見たことの無い二人が悪口を言い合っていたのですから、面白いですね。
玉の緒よ~がテストに出やすい理由
89番の和歌が出やすい理由はこちら。
・玉の緒が絶え、にかかっている枕詞だから
・「よわりもぞする」がわかりやすい係り結びの助詞になっているから
この和歌が選ばれる理由は、枕詞だからというのもありますが、下の句の最後の「よわりもぞする」の「ぞ~する」が係り結びの助詞という文法になります。
係り結びの助詞とは、その文章を強調する言い方です。種類は「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」の5種類で、「こそ」は已然形、それ以外は連体形の言葉の上につくという決まりがあります。
この係り結びの助詞はかなりテストに出やすいのでしっかり学んだほうが良いでしょう。
来ぬ人を~がテストに出やすい理由
97番の和歌が出やすい理由はこちら。
・百人一首を選んだ藤原定家の和歌だから
・「来ぬ人をまつほの」が人を「待つ」と「松」にかかる掛詞だから
この和歌は藤原定家本人が作ったものです。そのためテストにはよく
「百人一首を選んだ本人が作者の和歌である。ではその作者とは誰か」と出てきます。こちらもお決まりのパターンなので覚えておいた方がいいです。
何かの作者だったり技巧が優れた和歌はテストに出しやすい
今回解説した和歌はほんの一例ですが、実際のテストに登場した経験と問題の出しやすさから厳選してみました。
全体的に言えることは
・作者が有名である
・和歌の技巧が優れていたり問題にしやすい(枕詞、序詞、掛詞、係り結びの助詞)
この2点に絞られると考えてよいでしょう。特に中学生のテストの場合この傾向が顕著に現れます。
全てを覚えるのが厳しい場合は、ここに書いてある内容だけでも覚えておくと点数が10点はアップするかもしれません!是非、頑張って勉強してみましょう。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。